子どもの結婚!結納での親の準備~関東・関西形式の違い,結納金等費用の相場,家族書など

最近では結婚の際に結納を行うカップルは少数派ですが、自分の子どもがその道を選ばないとは言い切れません。「結納を行うつもり」と言われた時に備え、親が行うべき準備や心得について、しっかり熟知しておきましょう。

地域によって違う結納に必要な準備

婚約の証となる「結納」ですが、その中身は地域によって様々です。そのため、結納を行うと決めたら、自分の子どもや相手の住んでいる地域や、相手の親の出身なども考慮し、両家で話し合いの上、スタイルを選択していく必要があるでしょう。

結納は大きく分けて「関東式」と「関西式」の2種類があります。「結納」を交わすという考え方の関東では両家で結納品を交換しますので結納品の金額が1~5万円ですみますが、「結納」を相手へ納める、という考え方の関西では5~20万円になるなど、大きな違いがあるため、親側も注意が必要です。

関東式の結納をチェック

関東式の「結納」では、結納品を片木盆と呼ばれる一つの台に並べて乗せ、交換します。結納品は両家で同じ品数で合わせる、もしくは女性側が略式の7品か5品とする場合が多いでしょう。

結納品の金額は関西式ほど高くありませんが、両家がそれぞれ準備を行う必要があるため、相手の親の意見も聞きながら、話を進めていきましょう。関西式にならい、関東式でも女性からの結納品を省略するケースも増えています。

正式な結納の場合、盆の上には右から、以下の順に9種類の結納品を並べます。

・目録(もくろく):結納品の品目を記載します。
・長熨斗(ながのし):のしアワビのことです。不老長寿の意味があります。
・金包(きんぽう):結納金を包みます。
・勝男節(かつおぶし):かつお節のことです。昔から祝いの席には欠かせない品です。
・寿留女(するめ):スルメのことです。長持ちする品のため末永く幸せでいられるという意味があります。
・子生婦(こんぶ):コンブのことです。子宝に恵まれると言われています。
・友志良賀(ともしらが):白い麻糸です。共に白髪が生えるころまでの幸せを願います。
・末廣(すえひろ):対になった白い扇子です。末広がりの子孫繁栄を願います。
・家内喜多留(やなぎだる):本来は柳でできた酒樽でした。現在は家内喜多留の熨斗をつけ、現金を入れます。

略式7品の場合は、これらから勝男節、家内喜多留を省いたもの、略式5品の場合は、さらに寿留女、子生婦を省いたものを用意しましょう。

関西式の結納をチェック

関西式の「結納」は男性側からのみ結納品を贈り、女性側は受書を渡すというスタイルです。結納品は一つひとつ片木盆に載せられ、豪華な水引きで飾った上で、贈られます。

結納品を一つずつ盆に載せるため、女性宅にはそれぞれの品を飾るスペースが求められるため、相手の希望を聞いた上で準備するようにしましょう。現代は、親世代もマンションなどに住んでいる世帯が多いため、コンパクトにまとめた結納品セットも販売されています。「関西式で結納を行いたいけれど場所がない」という場合は、利用してみましょう。

正式な結納品は、以下の9品が用意されます。

・松魚料(しょうぎょりょう):おめでたい鯛の代わりとして贈る現金です。梅の飾りの下に置きます。
・家内喜多留(やなぎだる):お祝いのお酒の代わりとして贈る現金です。竹の飾りの下に置きます。
・小袖料(こそでりょう):男性から女性へ贈る結納金です。松の飾りの下に置きます。
・寿恵廣(すえひろ):対になった白い扇子です。子孫繁栄を願い、亀の飾りの下に置きます。
・高砂(たかさご):夫婦円満を末永く祝う夫婦人形です。
・熨斗(のし):のしアワビのことです。長寿を願い、鶴の飾りの下に置きます。
・子生婦(こんぶ):コンブのことです。子宝に恵まれると言われています。
・結美輪(ゆびわ):女性へ贈る婚約指輪のことです。
・寿留女(するめ):スルメのことです。長持ちする品のため末永く幸せでいられるという意味があります。

略式7品の場合は、これらから子生婦、寿留女を省いたもの、略式5品の場合は、さらに高砂、結美輪を省いたものを用意しましょう。

結納品セットや結納パックを上手に活用

結納品を並べるために使用する片木盆や飾りなどを、「結納」のためだけに個人で準備するのは大変なことです。親の負担を減らすためにも、結納品セットや結納パックを上手に利用するようにしましょう。

結納品セットは、関東式、関西式共に、正式、略式など、結納スタイルに合わせた結納品が、あらかじめセットされています。デパートや結婚式場で購入できるため、準備や手間を大幅に省くことができます。

正式な結納では、仲人が両家を行き来し結納品を渡しますが、略式結納の場合は、結納品セットと食事がセットになった、便利な「結納パック」の利用を検討しても良いでしょう。

結納スタイルが決まったら必要な書類やお金を準備

どのような形で結納を行うのかを決めたら、結納品以外の準備も始めましょう。結納品に添える目録や受け取り側が用意する受書、家族書や親族書、結納金など、親の準備も色々とあるため、子どもをサポートしてあげることで、安心して当日が迎えられるでしょう。

目録・受書の準備

結納品として納める品が一覧になっている目録、そしてそれを受け取る側は受書を用意します。関東式の結納では、双方が目録、受書を準備し、関西式では男性側が目録、女性側が受書を用意するケースが多いでしょう。

目録や受書は、奉書紙と呼ばれる白の和紙へ筆で記すのが正式ですが、筆に慣れていない人には難しい作業になるため、結納品セットに用意されている目録、受書へ日付や名前のみ書き込む例が増えています。

一生に一度だから、自分で書くのももちろん良いでしょう。地域によって、書き方に差があるため、結納品セットは通販などではなく、地元デパートなどで用意するようにし、記し方をアドバイスしてもらえば間違いないでしょう。

家族書・親族書の準備

結納品ではありませんが、結納では家と家の結びつきを深めるため、家族書、親族書の交換が行われる例が少なくありません。話し合いの結果、家族書、親族書を準備しない例もありますが、相手のことを良く知り、また自分側について理解を深めてもらうためにも、できるだけ用意するようにしましょう。

両家共に家族書、親族書の準備へ同意が出来たら、どのような形で用意するかを決定します。正式には、目録や受書と同じく、奉書紙へ筆で書きますが、和紙へペンや万年筆で書くケース、パソコンで作成したものを印刷するケースなど、様々なパターンが考えられるため、両家で体裁を合わせておくと安心でしょう。

家族書には、同居している家族を記載します。父、母、年齢の高い兄弟の順に、氏名や続柄を書くのが一般的です。本人が一人暮らしの場合は、実家世帯へ本人を含めて記載します。読みづらい名前の家族がいる場合は、ふりがなをつけておきましょう。生年月日や職業を書く場合もあるため、どんな内容にするか、事前に相談しておきます。

親族書には、同居していない家族や、三親等の家族までについて記載しましょう。続柄、住所、名前を書くのが一般的で、子どもと続柄が近い人間から順に書き並べます。親の兄弟について記す際は、親の兄は伯父、親の姉は伯母、親の弟は叔父、親の妹は叔母と書く点に注意しましょう。

結納金・結納返しの準備

以前は、女性側へ結婚の支度を行ってもらうため、給与の2~3倍もの結納金が用意されていました。そのため、息子がいる場合は、結納金のことで頭を悩ませる、といったケースも見受けられました。ですが、現在では無理のない金額で納める、婚約指輪などの記念品を結納金代わり、もしくは指輪代を差し引くなどする例もあり、親の負担も少なくなっています。

関東式の場合

結納金は、関東では「御帯料」と呼ばれます。結納金を受け取った女性側は「御袴料」として結納返しを行う場合が多いでしょう。親世代では、頂いた結納金の半額を贈る“半返し”が常識でしたが、現代では記念品と贈ったり、事前に結納返し分を結納金から引いてもらったり、と多様化しています。

結納金の金額は、地域によって大きな差があるため、両家で相談する必要がありますが、平均すると、結納金が90万円程度、結納返しが30万円程度のようです。

関西式の場合

結納金は、関西では「小袖料」と呼ばれます。また、京都では「帯地料」と呼ぶ場合もあります。関西式の結納では、結納返しが行われないため、女性側は受書を贈り、受領します。結納時には女性側の負担はありませんが、結婚する際に、支度金や記念品を持たせて送り出すケースがあります。結納金のおよそ1割程度を目安に、持参させるようにしましょう。

結納金袋の書き方・包み方をチェック

結納金を包む際、目録が無い場合は、外包みの上部に関東であれば「御帯料」に、関西であれは「小袖料」、に、男性の子どもの名前を書きます。目録がある場合は「寿」のみで構いません。しっかりとした濃い墨で、筆を使って書くのが正式な書き方です。女性から結納返しをする場合も、外包みの上部に「御袴料」と筆で記し、女性の子どもの名前を書きましょう。

結納金は新札を用意します。お金は表向きで、中包みの中心へ丁寧に入れましょう。最初に左、次に右と閉じたら、三角形の部分が左側に来るようにし、用意した金額を旧漢数字で書きます。中包みが完成したら、結納金袋の下側を引き抜くようにし、中包みをセットしましょう。この時、上下や表裏が正しいかどうか、確認しておきます。水引をうっかり切ってしまわないよう、慎重に作業を行いましょう。

「結納」にかかる費用を事前にチェック!

結納金の平均額は90万円程度でしたが、「結納」全体ではどのくらいの予算が必要なのでしょうか?仲人がいる場合といない場合、会場を借りる場合など、スタイルによって費用が大きく変わるため、事前にいくらくらい必要か算出し、必要に応じて親が負担するようにしましょう。

結納金以外の支払いは両家で分担

結納品や結納金、結納返しに必要な金額は、各家庭で準備を行います。ですが、それ以外の仲人さんへのお礼や、会場を借りる場合の費用、会食費などは、基本的に両家折半で負担します。そのため、事前に必要な費用を計算し、準備しておく必要があります。

結納品は、関東式であれば1~5万円程度、関西式では5~20万円程度です。結納金と合わせ、早めに用意を済ませておきましょう。

食事代はレストランや料亭であれば5~10万円程度、結納品の準備もお願いできる結納品パックを利用する場合は10~20万円程度となるケースが多いでしょう。その他、スタッフへのご祝儀やチップを用意する場合もありますので、両家でしっかり話をしながら進めます。

仲人さんへは、「御車料」「酒肴料」(祝い膳を省略した場合)を用意しましょう。「御車料」には、結納のために必要となる交通費を、多めに見積もり用意します。名前は両家の連名となります。結納後は、祝い善を用意し仲人をもてなしますが、男性側のみ祝い膳を用意する、両家とも省略する、という例も少なくありません。その場合には「酒肴料」として、3万円程度を、熨斗つきの祝儀袋(紅白、もしくは金銀のもの)に包みましょう。

仲人さんへの依頼が「結納」のみの場合、結納後数日中に「謝礼」と「手土産」を用意しお礼へ伺いましょう。謝礼の金額は結納金の1~2割程度、もしくは結納のみの場合は10~15万円とします。謝礼を包む袋へは、「御禮」もしくは「壽」と表書きし、両家の連名で渡します。仲人さんの住まいが遠方の場合は、結納後に渡しても問題ありません。

仲人さん宅へ後日伺う場合、手土産は5,000円程度が相場です。手土産を渡すタイミングで、みやげ物をお盆代わりにし、謝礼を渡すとスマートでしょう。

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