結婚式当日での、親の役割は意外にあるものです。相手の家族や媒酌人、スタッフへの挨拶、心付けの準備、祝電の確認、親族紹介、写真撮影など、式以外の場面での、親の役割を、当日までに確認しておきましょう。
式場到着~挙式までの親の役割
結婚式当日は、子どもと一緒に自宅を出発する親が多いでしょう。しかし、結婚式場到着後~挙式までは、準備で忙しい子どもたちと別行動になる時間が多くなります。親は、招待客への挨拶や祝電の確認、司会者との打ち合わせなど、自分たちの仕事に徹するようにしましょう。
親族や招待客への挨拶
式場へ到着したら、第一に相手の親、第二に式場スタッフへ挨拶を行います。その後は、媒酌人や主賓、親族、招待客が到着次第、来て頂いた御礼の挨拶を述べるようにしましょう。挨拶は父親が担当しますが、招待客が多い場合はスタッフへの挨拶であれば、母親が引き受けても良いでしょう。
相手の親への挨拶例
「たくさんのお力添えを頂き、今日この日を迎えることができました。最後まで良い一日になるよう、子どもたちを支えていきましょう。どうぞよろしくお願いいたします」
スタッフへの挨拶例(挨拶は、主に動いてくださる代表の方のみで構いません)
「今日は息子(娘)たちのために、準備をして頂きありがとうございます。お手数をおかけする場面もあるかと思いますが、よろしくお願いいたします」
媒酌人への挨拶例(媒酌人への挨拶は、両家の親と新郎新婦、全員で行います)
「本日は、大役をお引き受けいただき、大変感謝しております。至らぬ点もあるかと思いますが、よろしくお願いいたします」
主賓への挨拶例(当日挨拶をお願いする場合は、改めてお礼を述べます。媒酌人がいる場合は、忘れず紹介します)
「本日はお忙しい中、ありがとうございます。主賓挨拶をご快諾頂き、大変感謝しております。よろしくお願いいたします」
親族への挨拶例(結婚の報告を行います、親しい親族は媒酌人へも紹介します)
「ご多用の中、ご足労いただきありがとうございます。本日、息子(娘)が結婚の運びとなりました。今後とも、よろしくお願い申し上げます。」
招待客への挨拶例
「本日はご出席いただき、誠にありがとうございます。よろしくお願いいたします」
このように、親は主に控室で、招待客を出迎えるのが大きな役割となります。式場の準備などはスタッフへお願いし、できるだけ多くの招待客へ、結婚式開始前に声をかけるようにしましょう。どうしても席を外さなければいけない場合は、相手の親や式場スタッフへ声をかけた上で、速やかに用事を済ませるようにします。
初対面の人と打ち解けるのが苦手、という方も多いかと思いますが、最近の結婚式では新郎新婦をイメージさせる、華やかなカラーのウェルカムドリンクが用意されています。招待客へドリンクを手渡すことで会話のきっかけを作ったり、そのドリンクを選んだ由来などを話しながら会話を広げたりできますので、有効に活用しましょう。
祝電の確認・司会者との打ち合わせ
結婚式場へは、出席できなかった方からの祝電が多く届いています。親の知人からの祝電があれば事前に中身を確認し、披露宴で読み上げるべきものを取捨するのも親の役割です。読み上げてもらう祝電が決まったら、順番を確認した上で、司会者へ渡しておきましょう。
最近は、バルーン電報や、ぬいぐるみがついたもの、プリザーブドフラワー付きなど、式場を華やかにしてくれるデザインの祝電が多いため、スタッフへ依頼し受付やウェルカムボードなどへ飾ってもらうと、より一層華やかな結婚式となります。
祝電を渡す際に、司会者との打ち合わせを、親が行っておくと子どもの準備がスムーズに運びます。変更点などがある場合は、子どもたちから聞いておき、最終調整を行っておきましょう。
心付けや御車代の相場や渡すタイミング
親の行う大きな役割の一つに、お世話になる相手へ心付けを渡す仕事があります。式場などから求められる訳ではありませんが、マナーとして心付けの用意は必要不可欠ですから、親がきちんと準備するようにしましょう。
心付けの金額は、会場スタッフ、ヘアメイクさん、介添人など、それぞれ相場があるため、事前に子どもたちと打合せを行ったうえで、祝儀袋、もしくはポチ袋を用意しておきます。
心付けを渡すべき相手の人数を確認しておき、人数が予算を超えるほど多くなりそうな場合は、渡す相手を決めておくようにしましょう。
心付けの相場
心付けの金額は、挙式の規模や地域性などによっても変わります。そのため、先に同じ会場や地域で結婚した親族や知人がいれば、金額についてのアドバイスを貰っても良いでしょう。
「心付けは受け取りません」としている会場の場合も、出張で来て下さっているヘアメイクさんや介添人、着付け担当者、運転手、司会者、受付、カメラマン、ビデオ撮影業者、生演奏者など、会場関係者以外の人間には、心付けを用意しておきます。
全国的な相場としては、式場スタッフの代表者、ヘアや着付けの代表者、司会者やカメラマンの人間が1万円程度、その他の人間が5,000円程度となる例が多いようです。
心付けの書き方や渡すタイミング
本来であれば、心付けは新郎新婦が感謝の気持ちを込めて渡すものです。しかし、新郎新婦は準備に追われ、それどころではない場合が多いですから、率先して手伝いをして良い場面です。
表書きは「壽」「寿」「ご祝儀」のいずれかとし、新郎だけがお世話になる相手には新郎の姓を、新婦のみがお世話になる場合は新婦の姓を、どちらもお世話になる相手へは連名で姓を書き入れましょう。
中へ入れるのは新札とし、お札の肖像画が上になるよう揃え、入れるようにします。心付けは両家で準備を行い、事前にチェックリストを用意しておきましょう。その上で、「〇〇さんに渡しました」と両家で報告、確認を行いながら、リストを埋めていくと渡しそびれや二重に渡してしまう、といったトラブルを防ぐことができます。
心付けを渡すタイミングは、すべてが終わった披露宴終了後が正式だと言われていますが、それではヘアメイクさん、着付け担当者さんなどが帰ってしまう場合もあります。式場スタッフや介添人、受付スタッフへは最初の挨拶のタイミングで、メイクや着付け担当者には、作業を始める前、その他司会者やカメラマン、ビデオ撮影、生演奏者など披露宴でお世話になる相手は、披露宴前に心付けを渡しましょう。
ウェルカムボードを作ってもらったり、会場での演出をお願いしたりするなど、子どもが直接依頼し、お世話になった相手には、披露宴後に新郎新婦から心付けを渡しても構いません。
車代の準備と渡し方
主賓、乾杯の音頭をお願いした方、遠くから来て頂いた招待客へは、御車代の準備が必要です。御車代はたとえ近距離であっても1万円以上とし、それ以降は必要な交通費を切り上げ2万円、3万円という1万円単位で増えていくことが基本であることを、子どもへ伝えておきましょう。
交通費の計算は、招待した側が行います。招待客の住所を元に、もっとも高額になる移動方法で計算し、挨拶のタイミングや受付に託すなどの方法で、招待客の手に渡るようにします。祝儀袋には「御車代」と表書きし、招待した側の姓を入れるようにします。全員に用意している訳ではないため、周囲から見えない場所で渡すよう、親が配慮を行いましょう。
また、予算によっては、遠方の招待客すべての交通費を捻出するのが難しい場合もあります。その際は、事前に親から「遠方から来て頂きますので、交通費の半額は負担させてください」「交通費は全額こちらで出しますので、宿泊費はお願いして良いでしょうか?」といった連絡を、失礼の無いように行っておきましょう。交通費を、航空券のチケットや電車の切符などで事前に渡している場合は、「御車代」を用意する必要はありません。
親族紹介で行うべき親の役割
結婚式を行う際、挙式の前後の時間を利用して親族紹介や、挙式後~披露宴の間に親族が揃っての写真撮影を行います。この時、お互いの父親が親族紹介の挨拶をすることになるため、流れや挨拶の言葉を確認おきましょう。
親族紹介の仕方
結婚式へ招待した親族にとって、相手の家族は初対面であることが多いでしょう。そのため親族紹介は、どのような親族がいるのかを知るための、大切な時間となります。招待客を迎える際にも、相手の親族へ声をかけ挨拶を行いますが、それだけでなく両家顔を合わせての親族紹介の時間を、別に設けるようにしましょう。
挙式前に行う場合は、新郎新婦無しでの親族紹介となる場合が多いため、子どもたちは別の時間に親族へ挨拶する時間をとるようにします。式場によっても違いますが、キリスト教式や人前式の場合は控室を利用し、神前式の場合は神殿を利用するケースが多いでしょう。
親族紹介は、両家が対面するように並び、新郎の父親の挨拶でスタートします。血縁関係が濃い順に紹介するため、事前に新郎新婦の父、母、父方の祖父母、母方の祖父母、兄(姉)弟(妹)、伯父、伯母、叔父、叔母の順に並んでもらえるよう、配慮しましょう。
地域によっては親族紹介の仕方に色々な慣習があるため、相手の親と打ち合わせを行ったうえで、紹介順を決定するようにします。また、紹介する際は親から見た続柄ではなく、新郎新婦から見た続柄で紹介するようにしましょう。兄弟に未婚の子どもがいる場合は、兄弟と一緒に紹介するようにします。
親族紹介の例文
新郎父「新郎の父、〇〇と申します。本日はお忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございます。当家の親族を紹介させて頂きます」
新郎父「隣が、新郎の母、〇〇です」
新郎母「母の〇〇と申します。これからどうぞ、よろしくお願いいたします」
……以下すべての親族を紹介し終えたら、新婦の父の挨拶へうつります。
新婦父「新婦の父、〇〇と申します。当家の親族を紹介させて頂きます。今後とも、よろしくお願いいたします」
……以下、新郎父と同じ流れで、親族すべてを紹介します。
新郎父、新婦父「改めまして、よろしくお願い申し上げます」
という締めの言葉で一同礼を行い、親族紹介は終了となります。
媒酌人がいる場合は、先に媒酌人を親族へ紹介し、お祝いの言葉を頂いてから、親族紹介をスタートさせましょう。
記念写真の撮影の流れと注意点をチェック
記念写真の撮影は、挙式後のタイミングで行われることが多いでしょう。記念写真を撮る際の移動などは、式場スタッフに任せて構いません。一生残る写真ですから、身だしなみを整え、晴れの日にふさわしい服装や髪型で映るようにします。兄弟や祖父母などの身だしなみも、母親がさりげなく正してあげると良いでしょう。
記念写真は3列で撮ることが多く、前列は新郎新婦が中心、新郎新婦の隣が媒酌人、次に父、母と続きます。真ん中の列は新郎新婦に近い中央からへ祖父母、兄弟が並び、最後列に伯父、伯母、叔父、叔母という例が一般的です。
結婚している兄弟が多いなど、小さな子どもが多い場合は顔が見えるよう、移動してもらう場合もあります。これでなければいけない、という形式はありませんので、カメラマンの指示に従うようにしましょう。脚立に乗ったカメラマンが、高い位置から親族全員を写真におさめるなどの、カジュアルな親族写真も増えていますので、子どもからの要望があれば、合わせるようにしましょう。
・新郎新婦の写真は前撮りする場合も
挙式当日は慌ただしく、せっかくのドレスやタキシードの写真がゆっくり撮れない、という理由から前撮りを利用する新郎新婦もいます。二人だけでリラックスしながら、スタジオや屋外で撮影する写真は、子どもたちにとって忘れられない思い出となるでしょう。
別途料金がかかりますが、子どもの希望を聞いた上で、親が費用を負担してあげるケースもあります。費用は撮影を行う写真館によってまちまちなため、事前に確認しておきましょう。近年では、フォトグラファーのマッチングサイトを利用し、気に入ったフリーのカメラマンへ撮影依頼する新郎新婦も増えています。
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